224 Journal

224 JOURNAL Vol.75 – 土から開発して挑んだ「北斗の拳」プロジェクト

 

「今まで作った焼き物の中で 1番難しかった」

224porcelainの作り手である辻さんがそう語るプロジェクトのお披露目が、
2022年2月11日、クラウドファンディングのMakuakeでスタートした。

「魔界への誘い」などで有名な佐賀県鹿島市の光武酒造場による創業333周年記念の企画で、
「北斗の拳」とのコラボによる焼酎ボトルを制作するにあたり、辻さんにぜひにとオファーがきたのだという。

「最初の打ち合わせが今から1年半ほど前。スピード感には自信がありましたが、開発には丸1年かかりましたね。
やっと、やっと、ここまできた、という感じです」と辻さん。

それほど難しく、こだわり抜いて制作した「北斗の拳 黒王号ボトル」とは?
今回の224ジャーナルでは、辻さんが携わった磁器制作の裏側をご紹介しようと思う。

土から開発! 世界トップレベルを自負する渾身のアート作品

本プロジェクトは、「北斗の拳」をはじめさまざまな有名アニメの作画監督をつとめる和田卓也氏が完全監修。
その和田氏が描いた一枚の原画、北斗の拳の登場人物、拳王ラオウの愛馬「黒王号」が、ラオウのヘルメットの上に乗っているラフスケッチから始まった。

ボトルの原型データを手がけたのは、世界的なメイクアップアーティスト Amazing JIRO氏。

「形状が複雑で、見たことがないほど精密なデータにびっくりしました」と
JIROさんから届いたボトルの3Dデータを初めて見た時の衝撃を振り返る辻さん。

「あまりに精密でデータが重いので、作業中に何度もパソコンがシャットダウンして泣きました」と苦笑する。

黒王号の毛並みや筋肉の張り、血管、ヘルメットの装飾に至るまで、
リアルさを追求した和田さんとJIROさんの思いのこもった渾身のデータを、
いかに磁器製品として完成させるか。悩ましい場面もあったのではないだろうか?

「複雑な形状なので、ラオウのヘルメットの角の部分やコブラなど、どのパーツを接着にすれば作りやすいのか考えたり、型割りはどうするかなどの判断がなかなか難しかったです」

クオリティを追求するため、最終的には土の開発からやることになったというから、その覚悟に恐れ入る。

「磁器を作る陶土は白さを求めることもあり、土も白いんです。
でも、黒王号は黒なので、黒い釉薬をかけて作ることになりますが、そのとき、JIROさんの精密なデータが釉薬の厚みでほとんど消えてしまうんですよ。筋肉とか、たてがみのシワとか。
そこで、土の顔料の添加量を変えたりとか、黒い土の開発から始めて、釉薬も何種類か試したり、濃度を段階的に変えて試作したり。
新しく開発した土なのでノウハウがないから、成形した生地を焼いてみたらぺしゃんこに潰れてしまったり、窯から出した時の絶望感は半端なかったです」

そんな試行錯誤を何度も経て、ついに完成した黒王号ボトル。

「陶磁器やガラスの企業が作る、馬の置き物やボトルは世界中に沢山ありますが、
今回224porcelainで制作した黒王号ボトルは、間違いなく世界トップレベルの自負があります」と誇らしさを滲ませる辻さん。

「特にJIROさんの原型データは圧巻でした。ボトルはJIROさんあってのクオリティです」と絶賛する。

「数々のアニメをプロデュースされている和田先生をはじめ、各分野のトップクリエイターの方とご一緒できたことは、
私にとってとても貴重な経験となりました。グラフィックデザインはリコリスの古川さん、写真は内田国治写真事務所さん、
映像はオトエの古川さんにお願いし、佐賀県在住のクリエイターの方々にも切削データの作成などたくさんのお力をお借りしました。
このような機会を頂いた光武酒造場さんに感謝いたします」

たくさんの方の協力のもと、こだわり抜いて完成した究極の仕上がりに、実際、Makuakeでの反応も良く、
初日に目標金額を達成。すでに600万円を超える応援購入をいただいている。

黒王号ボトルのほか、ラオウをイメージした焼酎グラス2種も制作しており、
ボトルの中には、最強の蜜芋と言われる紅はるかを使った希少な芋焼酎が入っているそう。
3月30日までと開催期間も残りわずかなので、ぜひご注目を。

Makuake|北斗の拳 覇王の風格漂う黒王号ボトルと焼酎グラスを先行限定発売!
https://www.makuake.com/project/hokuto-no-ken/

メイキングドキュメンタリーはこちら(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=uR_mcw8ormU

224porcelain プロジェクトページでもご紹介しています
https://www.224porcelain.com/projects/hokuto-no-ken/

 

文:ハマノユリコ

 

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