224 Journal

224 JOURNAL Vol.74 – 「ふらっと箸置き」に学ぶ

“頭で考えるより、描くべし、手を動かすべし。それで道はひらかれる。”

今回の224ジャーナルは、224porcelainと久住昌之さんとのコラボ「ふらっと箸置き」のその後が深かった話。

 

久住昌之さんといえば、漫画「孤独のグルメ」「荒野のグルメ」の原作者として知られる有名人だが、
実は縁あって2019年に、224porcelainとのコラボレーションによる「ふらっと箸置き」を制作している。
(プロジェクトページ参照:「ふらっと箸置き」)

プロジェクトのその後については、情報を持ち合わせていなかったのだが、
最近、個人のSNSのフィードにこの箸置きが購入できるという話題が流れてきてびっくり。

調べてみたところ、「ふらっとSHOP」なるオンラインショップができている!
当時は確か、久住さんの個展やライブ会場などで不定期に販売をしているとのことだったけど。

サイト内のブログを読み進めると、コロナの影響でライブ活動が少なくなったのを機に、
2020年の5月にECサイトを立ち上げたということらしい。

「ふらっと箸置き」は、久住さんの原画を元に、224porcelainで型を制作。
白生地まで焼き上げたものを、嬉野から東京へ一旦送り、
久住さんが手描きで絵付けを施すという、とても手間のかかった商品だ。

この2年で、さまざまな表情の個性的な箸置きが大量に生み出されていたことを知り
ブログを読みながら感動していたのだが、コロナ禍の続く2021年5月、
1周年にあたり書かれていた言葉が、また深いのでちょっと紹介させていただこう。

=========================

冗談半分に「修行」と言って、休むことなくコツコツと作ってきました。
よく、団子屋とかの職人さんが「ひとつひとつ心を込めて作るだけ」と言います。
今、本当にその言葉を、自分の体で体感し、噛みしめている気持ちです。

そんな単純作業の繰り返し、それが何になるんだ、その先何があるんだ、じゃないんです。
箸置きを一心に作ってきたという体験と経験が、ボク自身になる。ボクの肉体と心になる。
2年前の、箸置きを作ってなかった自分とは、少しだけ、でも確実に違う人間になっている。
それがわかった。「自分探し」なんて、わけわからんことより、よっぽど己が見えてくる。

「そろそろネタが尽きてこないか?」なんていうのは、本当に浅い、軽薄で愚かな考え。
同じものを描いても、極めるには遠い道のりがある。
ましてや、絵の題材は、森羅万象、一生かかっても、浜の砂つぶほども描けない。
箸置きの小さなスペースには、無限の広がりがある。
頭で考えるより、描くべし、手を動かすべし。それで道はひらかれる。

(「ふらっとSHOP 〜久住昌之オフィシャルSHOP〜」ブログより)
=========================

コロナの影響はいつまで続くのか?というご時世の中、小さな箸置きを作り続けて感じた言葉が心に響く。

 

久住さんとのコラボレーションは箸置きに留まらず、
2021年には、肥前吉田焼の副千製陶所にも協力を得て制作した水玉の酒器「ふらっとぐい飲み」を発表。
2022年は、豆皿のデザインも進めているという。

文:ハマノユリコ

 

カテゴリー:

224 journal 配信希望の方はこちら

Back Number

224ジャーナルバックナンバー一覧