224 Journal

224 JOURNAL Vol.102 – はじまりのうつわ「うづら」に産地の祈りを込めて

2月のギフト・ショーで初お披露目した肥前吉田焼の新ブランド「精成舎」のうつわ「uzra うづら」。
今度は6月12-14日に東京ビッグサイトで開催されるインテリアライフスタイル展に持っていきます!

会場でぜひ実物をご覧いただければと思いますが、
224ジャーナルでは予習の意味も込めて、商品コンセプトを紹介しておきましょう。

コンセプトは「はじまりのうつわ」

デザインを担当したのは、プロダクトデザイナー・安積伸さん。

新素材「晟土」(せいど)を用いたものづくりにあたり、
「安積さんならこの素材で何をどうデザインしますか?」と問いかけられ、デザイナー魂に火がついたと語る。

「人生で初めて一人暮らし、あるいは二人暮らしを始める人たちへのエールを込めて、
機能的かつ新​生活の彩りとなるようなデザインを心がけました。スタッキングやネスティングによる収納効率も高く、
新生活を始める人へのプレゼントとしても適したものとなることを目指しています」(安積さん)

新生活を始める人にとって「一式あれば日常のほとんどの食事に対応できる汎用性の高い器」となるよう考え抜かれたデザインだ。

商品名の「うづら」は、あえて鉄粉を交えて開発した「晟土」(せいど)が、
うずらの卵を想起させる表情を生むことから名付けられた。

釉薬を用いないことで発生するマットな表面と、愛らしく丸みを帯びた形状も相まって、
卵の殻のような柔らかい美しさのある器に仕上がっている。

「新たな磁器(磁器産業)の未来を拓く技術が、卵から孵化し、世界に飛び立って欲しい」という、産地の祈りが込められた商品名だ。

さらにデザイン面では「縄文土器」がイメージの源泉になっていると話す安積さん。

「縄文土器と言えば火焔土器などの極端な造形の印象ばかりが強く残りがちですが、調理や貯蔵に使用されていた鉢や甕は、
縄目文様を除けば驚くほど簡潔な姿をしており、人の手による温もりを感じさせます。
日本の窯業の始まりの時代に見出だされた、シンプルさと優雅さを備えた美意識を改めて現代に蘇らせたいと考えました」。

「うづら」からスタートさせた新ブランド「精成舎」プロジェクトの真の目的は、
肥前吉田焼という小さな産地の存続を見据えた挑戦だ。

製造プロセスを大きく見直すことにより、焼成時の二酸化炭素排出量を40%削減し、
製造工程での良品率を99%に近づけることを目標として研究を積み重ね、一年がかりで誕生した素材「晟土」(せいど)

今回、商品デザインを担当した安積さんは、「晟土」の焼成素材サンプルを初めて手にした時、
「その硬質で繊細な表情に惹かれ、未完成でありながらも力強い可能性を感じた事を覚えている」と話す。

デザイナーの心を動かす新たな素材が、肥前吉田焼産地に明るい未来をもたらすはじまりとなるか?
まずは初めの一歩を見守りたい。

文:ハマノユリコ


interior lifestyle tokyo のご案内
会期:2024612日(水)-14日(金)
時間:10:00 – 18:00 (最終日は 16:30まで)
会場:東京ビッグサイト

224のブースでは、「うづら」 のほか、クラウドファンディングで紹介した「茶筒」や、ここ数年の新作などを展示予定です。


 

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