今年のゴールデンウィークは各地で陶器市が開催され、やきもの産地は久しぶりのにぎわいを見せていた。
コロナ禍の影響で、2019年以降、開催中止としていたエリアがほとんどということもあり
楽しみに足を運ばれた方も多かったことだろう。
かくいう私もその一人。
有田陶器市をはじめ、波佐見陶器まつり、伊万里やきものまつりを巡り、
久しぶりに唐津やきもん祭りにも足を伸ばして視察した。
肥前吉田焼産地では、4月のはじめに「おやまさん」という陶器市を開催しているので
ゴールデンウィークには有田陶器市に出店する窯元も多いようだが、224porcelainでは
2019年から唐津のやきもん祭りに参加している。
といっても、初出店以降コロナの影響で開催中止が続き、今年は3年ぶりの出店となった。
「実行委員長の坂本さんからお声がけいただき、
在庫も少なく、納期にも追われているスケジュールの中、どうしようかと迷ったのですが、
唐津の作家さんたちと会えるのも楽しみで」と参加を決めた224porcelainの作り手・辻諭さん。
久しぶりの唐津やきもん祭りはいかがでしたか?
「コロナ前の前回と比べると、お客さんはやはり少なかったですが、
やきもの好きな方たちとのやりとりは楽しく、参加して良かったと思っています。
窯仕事が残っていたので、接客はスタッフや妻に任せ、私は数日しかいられなかったのですけれど。
商店街には、唐津の新たな拠点となる『KARAE:カラエ』もできていて、
唐津はどんどん良い方向に変化しているように見えました」
KARAEは、ホテルや映画館、カフェなどが入った複合商業施設で、
やきもん祭り期間中は、中庭やアンテナショップに複数の作家さんが出店していた。
「いつもは、中日あたりに出店者同士の懇親会があるんです。
今回も楽しみにしていたのですが、まだコロナ禍ということもあり、懇親会は中止だったのが残念ですね」
初めて参加したときは、唐津の作家さんたちと話す中で
「土への関心や手造りへの想いが高まった」と、大いに刺激を受けていた辻さん。
「作品を見て回るだけでももちろん色々感じることがありますが、
お話を聞くと、さらにイメージが広がり、いろんなヒントをもらえるんです」
確かに、作家さんとの距離が近く、作り手本人から直接お話が聞けるのも、唐津のやきもん祭りならではだろう。
同業のみならず、やきものファンが楽しみにしている魅力もそうしたところにあることを
現地を巡り、作家さんや隣り合わせたお客さんと話しながら肌で感じる旅だった。
写真・文:ハマノユリコ