5つの穴が開いた木製台に、カップが5つ。
沸かしたお湯をひとつ目のカップに注ぎ、隣のカップへと順々に中身のお湯を移動させていく。
嬉野の茶農家自らが独自の作法でお茶を入れ提供する「嬉野茶時」のティーセレモニーの一幕だ。
お湯の温度を下げる行為を視覚的に楽しませてくれる。
いくつカップを移動させると何度下がるかは事前に計算されており、
茶葉に合わせて美味しくいただける温度に調整して急須に注ぐ。
これまで一般的なカップで代用してきたが
「嬉野茶」「肥前吉田焼」「温泉」という産地資源にこだわったイベントとして
この独自の湯冷ましの儀式に用いられる器も肥前吉田焼で揃えたい。
その思いがこの度2年越しでやっとカタチになった。
製作したのは、224porcelainの辻諭さんだ。
お湯を移動させるので、こぼれにくい形状が望ましいが、
注ぎ口はつけたくないというリクエストに応じ、八角形の形状を提案。
木製台の穴にはめた時、ぐらついたり傾いたりせず、
横から見た時に並んだ水平なラインが美しく見えるよう細部にもこだわった。
また、市販のカップには底があるが、セレモニーでは自立させる必要はないので、
美しさを重視し下半分は八角錐に収めている。
特別な時間と空間を提供する嬉野茶時のティーセレモニーが
さらに洗練された儀式へと近づいた。
文:ハマノユリコ
嬉野茶時 × マンダリン オリエンタル 東京 コラボイベント開催
2018年3月15日(木)~4月27日(金)、マンダリンオリエンタル東京にてコラボイベントが開催されます。
今回辻さんが制作した湯冷ましによるティーセレモニーもご覧いただける予定です。
詳細は「嬉野茶時」公式サイトでご確認ください。