224 Journal

224 JOURNAL Vol.57 – 肥前吉田焼のアイデンティティ

 

4月のミラノデザインウィーク、GWの唐津やきもん祭り、6月のインテリアライフスタイル東京。
いずれも今年224porcelainが参加をする予定だったイベントだ。

新型コロナウイルスの影響で、世界各地でイベントや展示会が中止となっていることは周知の通りだが、
224porcelainでも、準備していた新作開発が中断したり、
進行していてもお披露目の機会を逸したりと不安定な状況が続いている。

そんな中、自分のものづくりや肥前吉田焼という産地について考えることが増えたという作り手の辻 諭さん。

最近はまっているのが、土いじりだ。
土いじりといっても畑仕事を始めたわけではない。

かつて、吉田で陶石を採っていた採石場跡地の周辺の山から、石のサンプリングを行い、
粘土や釉薬を試作する実験を行なっているという。

昨年参加した唐津やきもん祭りの打ち上げで、14代中里太郎右衛門先生とお話をする機会があり、
「唐津の土で生地を作り、唐津の灰で釉薬を作り、唐津の薪で窯を焚く。それが唐津焼」と定義を伺ったことが、
肥前吉田焼とは何なのか?というアイデンティティに改めて目を向けるきっかけになったそうだ。

これまで、肥前吉田焼の特徴を問われると
「様式にとらわれず、自由なものづくりができる」と答えてきた辻さん。

今、改めて自分自身や産地を見つめ直している辻さんをみたとき、
224ジャーナルVol.2 の締めくくりの言葉を思い出した。

“「吉田で焼きものをつくる意義」は、224ブランドを育てる中で少しずつ明確になるのかもしれない。”

あれから4年半が経ち、辻さんの中で、何かが変わり始めているのを感じた。

文:ハマノユリコ

 

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