使ってみて初めて器の本当の価値がわかる。最近特にそんな思いを強くするようになった。
224porcelainのラインナップの中で、私が一番最初に使ってみたいと心惹かれたのが、ダイヤ彫りのプレートだった。
キラキラ光るような陰影を見せる凹凸がなんとも美しい。
先日、嬉野の和多屋別荘で行われたイベント「嬉野晩餐会」で、八寸やメインのお寿司の盛りつけに利用されていたのもダイヤ彫りのプレートだ。
食と器は切っても切れない関係にあり、最近こうした食と器のコラボレーションによる企画も多い。
「器だけが良くても、料理だけが良くてもダメ」
佐賀県立九州陶磁文化館でのイベント「USEUM ARITA(ユージアム アリタ)」開催に際し、
式典に参加した人間国宝・井上萬二さんも、食と器の関係性について言及していた。
USEUM ARITAは、「USE=使う」をキーワードに、佐賀県が誇る名陶、人間国宝と三右衛門
(井上萬二、中島宏、今泉今右衛門、酒井田柿右衛門、中里太郎右衛門)による器で食事を楽しむことを目玉としたイベントだが、
これら究極の器とともに、カフェタイムのスイーツセットの器としてここでも224porcelainのダイヤ彫りシリーズが起用されている。
食材を引き立てながらも華やかさのあるダイヤ彫りは、多くの料理人からも支持を集めているようだ。
使ってみると、見ているだけではわからないことが見えてくるのも器の面白いところ。
料亭やレストランで給仕されるだけでなく、自宅で実際に盛りつけたり、洗って片付けたりしてみると、もっと発見があるだろう。
ダイヤ彫りプレートの場合、まず驚いたのはその重量感。
しっかりとした作りであることは感じていたが、使ってみると想像よりもはるかにずっしりとした重みがある。
しかしながらそれも素材や製法を知れば納得がいく。
原材料は陶石だし、中空などではなく無垢なので、石のプレートを使っているようなものだ。
凹凸は圧力鋳込みでという成型法で、裏面まで丁寧に彫りが入っている。
重たいし、ダイヤ彫りのくぼみに油などが入ると洗うのが面倒、ナイフフォークを使うような料理には向かない。
そういわれると使うのを躊躇する人もいるかもしれない。
でも作り方を知り、作り手の思いを知ると、デメリットも愛着に変わるから面白い。それになんといっても美しい。
洋食であればチーズや生ハム、野菜のグリルなど前菜の盛り合わせにもよく合うだろう。
一口サイズにカットしたお肉料理や、嬉野晩餐会で使ったようにお寿司を盛ったり、
おもてなし料理を一段と華やかにグレードアップしてくれる。
少々扱いにくくても、この美には代え難い。そんな満足感を得られるダイヤ彫りプレートだ。
●有田焼を五感で楽しむ「USEUM ARITA」
会期:2016年11月27日(日)まで
会場:九州陶磁文化館
文:ハマノユリコ
▼プロの料理人にも人気 ダイア彫りシリーズ
(左から3つは嬉野晩餐会、右はUSEUM ARITAで利用した際の写真です)