224 Journal

224 JOURNAL Vol.84 – 辻 諭 のフィンランド紀行

早いもので2022年も最終月となりました。
今年も大忙しだった224porcelain代表の辻さんですが、10月半ば、さくっとフィンランドに行ってきたというのです!
久しぶりの海外視察で何を感じたのか、早速お話を伺いましょう。

−−  まずはフィンランドへ行くことになった経緯を教えてください

佐賀県が進めているフィンランドとの交流の一貫で、次世代を担うリーダー候補による使節団のひとりとしてお声がけいただきました。
北欧は行ったことがなかったので、お話をいただいたときは単純に嬉しかったです。

フィンランドは、幸福度ランキング世界一(日本は54位)、デザインや建築が素晴らしい国ですよね。
デザインはもちろん、エネルギーやまちづくりにも興味があるので、しっかり視察してきたいと思いました。

−−  現地滞在は正味3日間という駆け足の行程でしたが、印象に残った場所や物事はありますか?

到着日は自由行動で、滞在2日目に、フィンランドが生んだ世界的建築家・デザイナーである
アルヴァ・アールトの名を冠する「アールト大学」と、小型衛星の製造等を行う「ICEYE社」を視察しました。

人口560万人のフィンランドですが、世界中から優秀な人や資金が集まり、先進的な取り組みがおこなわれていて、
さまざまな面で世界トップクラスであることを知りました。

国内外のアーティストが暮らす「フィスカルス村」での展示

3日目に訪れたのは、住人の半分以上がアーティストやデザイナー、工芸家という、アートやデザインを中心としたまちづくりをしている「フィスカルス村」。
フィンランドの優れた手工芸品やアート作品が制作・展示され、観光客もたくさんくる有名な村です。

ONOMAと呼ばれる独自の協同組織があり、「Lives and Works in Fiskars」のコンセプトは素晴らしいと思いました。

ヘルシンキ中央図書館「Oodi」

ヘルシンキ中央図書館「Oodi」は建築が面白く、公的な機関であってもこのような建築物を作れるのは日本では考えられないです。

−−  フィンランド独立100周年を記念して、2018年12月にオープンした公共図書館ですね。
2019年度の「Public Library of the Year」にも選ばれたフィンランドの新しいランドマークは、
一般的な図書館の枠組みを超えた最新の図書館と言われていますが、実際に訪れていかがでしたか?

3Fは図書館ですが、1Fはイベントスペースや映画、カフェがあり、
2Fは会議スペース、楽器や写真のスタジオ、3Dプリンターやレーザー出力、ミシンなどさまざまな設備があります。
予約制で無料で使えるとのことでした。(材料費は自費だと思います)

私が見た時は小学生が3Dプリンターで出力していて、身近なもの、という印象を受けました。

ヘルシンキ中央図書館「Oodi」内の設備

 

−−  フィンランド式サウナ「ロウリュ」も体験されたそうですね

もともとサウナ好きなのですが、ロウリュは建築もロケーションも素晴らしい!
海へ飛び込むスタイルは、最初は怖かったですね。
水風呂よりもはるかに冷たく感じますが、慣れたら気持ち良かったです。

佐賀でも綺麗な海や川がたくさんあるので、観光客向けのハイクラスサウナがあったら流行りそうだなと思いました。

−−  フィンランドではマスクをしている人が1人もおらず、久しぶりの解放感を楽しんだ様子の辻さん
帰国した今、感じていることは?

実際にフィンランドへ行かないとわからないことが多く、本当に勉強になりました。

生活のあらゆる場面で感じる北欧デザインの力はもちろんですが、
Oodi図書館やフィスカルス村からは特に学ぶべきものが多く、今後の肥前吉田焼の取り組みに活かしていきたいと思っています。

まずは脱炭素社会に向けCO2削減を目指した取り組みや、
フィスカルス村のように移住者を増やすような取り組みが吉田でもできたらいいですね。

ものづくりだけでなく、まちづくりへの刺激も得たフィンランドの旅。
来年はどんな取り組みが生まれ、発展するのか。肥前吉田焼産地の動向に期待が膨らみます。

聞き手・文:ハマノユリコ

 

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