人にとっての「えくぼ」や「ほくろ」は個性のひとつ。
気になる方もいるかもしれないが、チャームポイントとして魅力にもなるものだ。
そんな「えくぼ」や「ほくろ」が、器にもあることをご存知だろうか?
「えくぼ」とはピンホール、「ほくろ」とは生地や釉薬に含まれる鉄分により発生する黒点のことを指す隠語で、
産地では愛情をこめてそう呼ばれている。
「えくぼ」や「ほくろ」のある商品は、一般的に市場に出すことのできない「規格外品」、いわゆる「B品」として扱われるが、
天然の素材を使い、手作業を主とする磁器の製造過程では、どうしてもある一定数は発生してしまうもの。
使用いただく上では問題のない品々だ。
そこで、2018年から始まった肥前吉田焼産地の取り組みが、
窯元の工場見学をしていただくことで焼きものづくりに理解を深めていただく「えくぼとほくろ」のプロジェクトだ。
規格外品とされてしまう「えくぼとほくろ」も、気になる・ならないは人それぞれ。
ものづくりの現場を知り、実物をみて納得して購入いただける仕組みを各窯元が提供し、併設する直営ショップで販売をしている。
224porcelainの商品を制作する吉田のアトリエでも「えくぼとほくろ」のコーナーを設け、ご好評いただいていたが、
コロナ禍が続き、吉田までくるお客様自体が減ったことから、「最近は、えくぼとほくろ商品が増え続ける一方」だと心配する。
そこで応援企画として立ち上がったのが「えくぼとほくろ」のポップアップイベント「えくぼとほくろ市」だ。
賛同いただいた既存のお取引先や知り合いのカフェなど、これまでに数カ所で開催し、好感触を得たという。
「元々、吉田に足を運んでもらうための企画なので、224porcelain直営以外、
別の場所で販売することについては想定していなかったのですが・・・」と話す辻さん。
これまでの日常とは異なるこの時期を乗り越えるためのイレギュラーな取り組みだが、
「コロナが落ち着いたら、吉田の窯元めぐりに行ってみたい」
そんなきっかけになることを期待してやまない。
文:ハマノユリコ
※現在、他店での「えくぼとほくろ市」は開催しておりません。