ちいさな家の形をした箸置き、ひょうたんのようなフレグランスポット、
本の形の一輪挿しなど、224porcelainの商品は、どこか愛らしさを備えたデザインが多い。
デザイナーは女性?と思うかもしれないが、
実際にデザインしている人たちは、そこそこおじさんだ(笑)。
224porcelainの立ち上げメンバーは3人。
いずれも「乙女心を持ち合わせたデザイナー」と語るのは、メイン作家でディレクターの辻諭さんだ。
ご本人の愛嬌のある風貌と人となりは、224JOURNALのvol.1「髪とヒゲは誰でも伸ばせる」でもお伝えした通り。
vol.4「おにぎりとカップメン」で紹介したデザイナー馬渕晃さんも、
そのクスッとさせる作風を見れば、説明不要だろう。
そしてもう一人、シンプルでバランスのよいデザインに定評があるデザイナー
五島史士さんにも、実はさりげない乙女心が潜んでいる。
メンバーの中で一番年上の五島さんは、「人生の先輩で何でも相談できる人」と信頼を寄せる辻さん。
長崎県諫早市出身で、佐賀県吉田出身の辻さんにとっては、方言で安心して話せる希有な存在のデザイナーだ。
「陶磁器はもちろん、革や金属など素材に詳しく、頼りになります」。
辻さんが「vestino」というカップのデザインをしていたときは、
カバーとなる革を五島さんが自ら試作し、仕上げの細部までアドバイスをしてくれたという。
「五島さんなくしては実現しなかったデザインです」。
五島さんのきめ細かなサポートはさらに商品名にも。
224porcelainの商品のネーミングや説明文は、基本的にデザインしたデザイナーが考えるのだが、
辻さんが普通に「レザーカップ」と名付けていたところ、
それでは可愛くないと五島さんが「vestino」という名称を提案。
イタリア語でドレスを意味する「vestito」と小さいを意味する「ino」を組み合わせた造語で、
洋服を着替えるようにレザーカバーをまとうカップを表現した。
「五島さんはロマンチストだからなー」(辻さん)。
224porcelainの商品は、そんな乙女心を持ち合わせた3人の男性デザイナーによって、
日々開発が進められている。
文:ハマノユリコ
▼五島史士さんが関わった商品