224 Journal

224 JOURNAL Vol.113 – いらっしゃい「よしださんち。」

「よしださんち。に おいでよ」

そんな緩やかな声かけが、自由な作風の吉田焼産地らしい、と思ってしまう。

肥前吉田焼産地再生チャレンジ推進協議会が2023年に立ち上げた肥前吉田焼と若手クリエイターをつなぐプロジェクト「よしださんち。」。

職人の高齢化が進み産地の存続が危ぶまれる中、窯元を中心に、佐賀県あるいは県外も含め、さまざまな業界の方々の協力のもと運営されている。

224ジャーナルvol.112で紹介した「Corcelain」も「よしださんち。」から誕生したプロダクトだ。

肥前吉田焼産地では、次の100年に向け「若手の育成/増加」をテーマに新しいチャレンジを進めており、
技の伝承や分業体制を保つのが難しくなっている産地の現状を打開する施策を検討している。

そうした問題の入り口として期待されるのが「よしださんち。」の活動だろう。

クリエイターとして作品制作のための滞在をするもよし、
ひかりぼし」などのイベントや「嬉野温泉」といった産地資源を目当てに旅行するもよし、
教育機関の方の研究授業の場として、肥前吉田焼の職人修行の相談ももちろんウェルカムだ。

「吉田焼はもっと気軽で自由な産地」

そんな思いを伝えようと応援する支援者たちが、プロジェクトやサイトを盛り上げ、吉田の未来に目を向けている。

産地に関わり10年近くたつ筆者も、ワクワクするような新しい動きが盛りだくさん。

最近の話題としてはマーケティング部を発足し、キックオフイベントを開催した。
「産地のマーケティング部といってもちょっとした部活動のような感じですが、
何気なく見ている各社のインスタグラムにもそれぞれ傾向があり、自分たちも勉強になりました」と運営側にも好評だ。
(2025年5月13日には、第一回目の座談会があるとのことで、こちらもどうぞお楽しみに)

産地の中の人にも、外の人にも伝えたいことがたくさんある。

「焼きものに携わってみたいなと思う人の背中を押してあげるような、そんな取り組みができるようになるといいですね。
吉田がフィンランドのフィスカルス村のようにいろんなクリエイターが集まる産地になることを夢見ています」(224代表・辻諭)

ぜひ「よしださんち。」で吉田焼産地の今を感じてほしい。

よしださんち。
https://yoshidasanchi.com/

 

文:ハマノユリコ

 

カテゴリー:

224 journal 配信希望の方はこちら

Back Number

224ジャーナルバックナンバー一覧