224 Journal

224 JOURNAL Vol.108 – まずはお試し!アーティスト・イン・レジデンス

2024年最後の224ジャーナルは「猫ガチャ」製作にも協力いただいたオランダ人アーティスト・ミリーさんの紹介で締めくくろうと思う。

アーティスト・イン・レジデンスの事業は、近年224の辻さんが構想してきたプロジェクトのひとつ。
今年はその第一歩となるお試し運用が実現した。

ワーキングホリデー制度を使い日本に滞在していたミリーさんが、縁あって吉田焼産地へやってきたのは2024年4月のこと。

辻家のゲストハウスに滞在し、最初の1週間は224の現場を手伝いながら何を作ろうかと考えていたミリーさんだが、
2ヶ月間の滞在期間に、コンセプチュアルな作品を生み出した。

▲恐竜の骨のグラフィックを凹凸で表現した生地

恐竜の骨のイラストを凹凸のあるレリーフとして仕込んだプレートに、繊細な筆致による染付で植物を描いた作品だ。

一見すると、緻密に描かれた染付に目を奪われるが、それだけではないギミックが心憎い。
見る角度を変えると光の加減で凹凸が浮き彫りになり、恐竜の骨が隠れていることに気がづくだろう。

地層にはさまざまな生き物の骨が埋まっていて
その上に植物が芽吹く生命力のようなものを感じさせる作品に仕上がっている。

今回アーティストを迎え入れるにあたっては、お試し運用ということもあり
辻家のゲストハウスに滞在してもらい、224で現場仕事を手伝いながら磁器製造を体験し、
自分の作品作りにも取り組むプログラムとしたが、事業化するとなると、

「吉田の空き家を利用して滞在できる場所を作ったり、製造現場の受け入れ体制を整えたりと、まだまだやることはたくさんあります」と諭さん。

2022年に佐賀県の事業としてフィンランドに派遣された使節団での体験(辻諭のフィンランド紀行はこちら)を元に
実証実験を試みる肥前吉田焼産地でのアーティスト・イン・レジデンスは、来年2025年の事業化に向け本格的に準備が進んでいるという。

滞在中に製作したアーティストの作品は、
「絶賛リノベーション中の第三スタジオにオープン予定のギャラリーで展示できれば」と夢は広がる。

今後も進捗を見守り、224ジャーナルでお届けしていきたいと思う。

文:ハマノユリコ

 

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