台風の進路が気になる8月某日、
夏の日差しが照りつける酷暑の中、久しぶりに嬉野を訪れた。
今年は東京のイベントで会う機会が多かったが、224の工房を視察するのは約1半年ぶりだ。
第二スタジオで生地工場も始めたことは、224ジャーナル94号「224porcelainで働くという選択」で紹介したが
さらに拠点を増やし、今は第三スタジオをリノベーション中だというので224代表の辻諭さん直々に案内してもらった。
場所は、224porcelainの窯場がある吉田皿屋近辺。
肥前吉田焼の窯元会館がある通りを一本外れた旧街道で、昔はこちらが町の中心だったらしい。
元々は代官所跡地という由緒ある土地に、築100年は経っているという古民家を借り受けた第三スタジオは、知らなければ素通りしてしまうほど普通の民家だ。
「ここですか?」と恐る恐る扉を開けて中に入ると、こもった熱気を受けて一気に汗が吹き出した。
天井を剥ぎ、古木の梁がむき出しになった状態の空間は雰囲気があり、そのポテンシャルに期待が高まる。
が、何しろ暑い(苦笑)。これから設備を整え、ギャラリーとして仕上げていくそうだ。
「アーティストインレジデンスで来日した作家の作品や、吉田で作陶する若手アーティストの作品を展示販売したり
イベントを開催できるようなスペースに育てていきたい」と語る辻さん。
建物の半分はすでに生地工場として稼働しており、新開発した素材「晟土」(せいど)専用の工場として
圧力鋳込みの機械が導入されていた。
その傍らには、ろくろ台も確保されていて、スタッフが勤務時間外に作家活動をするために使ったり、
ろくろ教室を開いて辻さんが教えることもあるという。
若い陶芸作家さんたちのシェア工房を作って独立するまでの支援をしたいと語っていた
辻さんの目標に一歩近づいたということだろうか。
第三スタジオが本格稼働する日を楽しみに、リノベーションを見守りたい。
写真・文:ハマノユリコ