やきものの町を歩くと、そこここに捨てられている丸い円盤状のフタのような物体。
初めて見た人にとってはとても興味深く、産地巡りをした記念に拾って帰ることも多い人気モノだが、
やきものの産地で育った人には見向きもされない見慣れた風景のひとつだ。
この白いモノの正体は「ハマ」という。
作品を窯に入れて焼成する際、作品がくっついてしまわないよう焼台として下に敷く大事な窯道具だ。
磁器は焼成すると焼き締まる特性があり、ハマも一緒に縮まないと、高台が変形したり割れてしまうため、
窯に入れる磁器と同じ収縮率の粘土を用いた使い捨てのハマ(トモバマ)が多く用いられている。
基本的には一度しか使えないため、窯元の近くでは至る所に捨てられているのを見ることになる。
川原で石を投げる代わりにこのハマを投げて遊んだというのは、やきもの産地では誰もがもつ子供の頃の思い出だ。
見慣れたハマも、こんなふうにカラフルに彩ると、一見ハマだとわからないのでは?
今年の夏、嬉野の和多屋別荘で開催された展示「吉田焼ミュージアム」で、
インスタレーションに利用されていたハマはとてもかわいらしく、おはじきや積み木的な玩具にも見える。
いつもは脇役のハマが新たな魅力を纏っていた。
写真・文:ハマノユリコ
●224JOURNALメルマガ配信のお知らせ
224porcelainにまつわる様々な話題をお届けする224JOURNALは、毎月1回メルマガでの配信も行っております。
作り手である辻諭さんのつぶやきなどメルマガ読者だけが読めるミニコンテンツがプラスされる場合もありますのでどうぞお楽しみに。